いよいよ本番

 オーディション室に移動すると、3人並んで椅子に座り、それぞれの前に譜面台が置いてある状態になります。その前には当然審査員のキヨシ小林さん。


 「毎回やり方は変わっていて、前の組では一人ずつ全部の曲を弾いてもらったけれど、今回は一人2曲くらいずつ、私が指定する曲を弾いてもらって少しずつ回すことにします。どの曲も途中で止めたらやめてください」などと説明が。つまり我々の組では、最初の人が2曲弾いて、次の人が2曲、3人目が2曲弾いたら、最初の人がまた別の2曲、という形で進みました。

 メトロノームでca=60のテンポを出し、それに合わせて弾くのですが、これが普通のメトロノームではなく、リバーブがかかっているのが、何となく不安感をあおります(笑)。


 最初の女性がまず1曲。予想どおり、メトロノームのテンポよりだいぶ早いテンポで始まってしまい、どうにもテンポが合いません。2曲目も同じ感じ。やはり最大の難関は、弾くことそのものよりも、遅いテンポに合わせることのようです。

 二番目が自分。我ながらさすが合唱出身で、何かに合わせて弾く、ということになるとかえって落ち着くようで、ちゃんと弾こうとしていた練習の時より、むしろ1回限りの本番の方が自然なテンポを感じられました。2曲とも半分も弾かないうちに「結構です」と止められましたが、悪い感触ではありません。

 三番目の女性は楽器の経験者らしく、待ち合い室で弾いている時には、三人の中で一番上手いという印象でしたが(女房もそう言っていました)、面白いものでやはり遅いテンポに惑わされてか、ハシッたり止まったりが続出してびっくりしました。おそらく、前の4人でもこういうシーンが出たのだろうと思います。二周めも概ねおなじ傾向。この段階では、正直なところ、最初の女性がかなり厳しい雰囲気でした。