しいはらウクレレ工房 3Kレプリカ

そんなわけで(どんなわけだ)最初のウクレレを購入して、5月で22ヶ月となります。平均して月2本近い購入ペースを守っているわけですが(…)、4月はいよいよゼロ購入が来るか? というギリギリのところで、つい惚れ込んでしまった悪女のご紹介を(^_^;)。

元々の動機は、申し訳ないことに T's のオールド・ホンジュラスマホガニーモデルへの興味でした。一度どんな音だか触れてみたい、もし惚れこめば場合によっては… という勢いで渋谷ハートマンへ行ったものの、まぁご想像どおり、一歩違いで売れた後なわけです。こういう運のなさには自信があるので、もうこれでこの楽器との縁はないなと一瞬で諦めた自分。

諦めるだけならともかく、ここで「じゃあ、気になっていた別な楽器を…」と言ってしまうのが我ながらナニなわけですが、そんなわけで、別なメーカーのマーチンコピーモデルをいくつか触らせてもらうことにして、一本目で「お゛」となったのがこの「しいはらウクレレ工房」の3Kレプリカでありました。





一発でフロロカーボンと判る弦が張られていますが、バランスが上手くとってあって、マーチン弦の柔らかさすら感じさせる音。音程もばっちりで、気になる音程ポイントも上手く作ってあります。特筆すべきはデッドポイントで、なんとC音近辺。ほとんど気にならないと言っても良いです。調整の結果だとすれば、実に納得のいく調整です。

これは持ち帰らないと後悔するな、と思うのに時間はかかりま… したけどね(^_^;)。でも、元々の予定の楽器の半値近いわけだし、と自らを納得させるまでに、試奏すること20分。自分としてはかなり長い時間です。

「完成度は一番高い」と言われたLaUkeのレプリカとも弾き比べてみましたが、こだわりの濃度のようなものをより強く感じ、こちらを持ち帰ることにしました。購入を決めたところで、店員さんに「ナカニシの職人さんが独立してやっている工房で…」と言われ、なるほど、とさらに納得がいきました。自分が、ある意味で一番大事にしているのが、ナカニシ製のコア合板 NS-55K なのでした。こういうのは、フィーリングとしか言いようがありませんが。


購入したその日に屋外で弾きまくり、家に持ち帰ってから数日弾きこんで、ようやくフロロカーボンならではのテンションの高さが気になり始めました。1フレットのセーハが、他の楽器と比べて気持ちよくないのです。自分の非力と技術のなさではありますが。

まずは試しにもう少しテンションの低い弦に変えてみました。試したのは「セニョリータ」とかいう名前のクリア弦です。…これは全くダメ。音程はシャープするし、鳴りは全然ショボくなるしと、あらゆる点で良いとこナシでした。どうやら、フロロカーボンのテンションを前提に調整された楽器だと見ました。なにせ、特に太い弦でもなさそうなのに、2弦と3弦に至っては、ブリッジの切れ込みをすら通らないのですから。

それではと、勇気を出してナットの溝を少しだけ削ってみました。これは成果がありましたが、注意して作業したにも関わらず、残念ながら2弦で少し弦ビレが出るようになってしまいました。弦ビレは嫌いなので、2弦のナット側に名刺ほどの厚さの紙を挟んで、わずかに弦を浮かせることにしました。これで納得できる弾き心地になっています。

またもや印象批評ですが、ほんのわずかに不自然気味なサステインの長さ(これは弦の特性上仕方ないでしょう)を感じるほかは、実にうまくバランスを取った音づくりの楽器だと思います。おそらくこの楽器は、ずっとこのままの弦(WorthのCE?)で使うことになるでしょう。そのくらい、トータルで作り込んだ楽器という印象です。もちろん安いとはいえないのですが、これ一本でマーチンのレプリカは十分だと思えるくらいに、良い買い物をさせていただいたと思います。