楽器の感想

 ご本人との丁寧なやりとりの後で、楽器が到着。予想通りというか以上というか、実にきちんとした楽器でした。

 最初に確認したのは当然ながら音程ですが、非常に正確。オクターブピッチがちゃんと合っているのはもちろんですが、価格帯に関わらず、たいていのスタンダードウクレレが苦手とする、2弦の8フレット近辺のシャープも気になりません。これは、ご本人曰く、フレットは専用の器具を使わず手打ちにして、少しフラット気味にセットしているのだそうです。フレットの高さもあって、上級者であれば強く押さえて音程をコントロールできるが、最初からシャープしているとどうしようもないので、ということ。

 ブリッジもちゃんと音程微調整がされています。音程には徹底的にこだわっているのが判ります。

 そして、印象的なのがその音。自分の持っている楽器の中では、故人となってしまったハワイのビルダー、Troy Ozama のスタンダードに近い、明るく開放的な響きです。国産ビルダー独特の、芯のある丁寧な感じとは違った軽さ。音程の良さからコードの濁りも少なく、長めのクセのないサステインもグッドです。

 ほとんどの特徴はオークションの文面に説明されているのですが、非対称グリップやボディとのジョイント形状による弾きやすさも大したもので、自分の所持しているどのウクレレよりも良いプレイ感です。

 この上質な楽器が、送料などを込みにしても4万円足らずで手に入るというのは、ちょっと衝撃でした。

 自分が入手した楽器の欠点らしいものをあげつらうとすれば…

独特のペグ位置のために、3弦のチューニングがいささかしにくいこと、3弦のナット溝がやや狭かったこと(これは自分で削ればok)、仕上げの美麗さでは高額な楽器に一歩譲る、という点ぐらいでしょうか。こと音と音程に関しては、価格の倍以上の価値がある楽器だと思います。

 購入した当日、ウクレレ仲間との花見に持っていったところ、「これは知らしめる価値のある楽器なので、奥さんの店に置きましょう」ということになり、手元に常置できないのは残念なのですが、店にディスプレイすることにしました。

 作者のかたに絶賛メールをお送りしたところ、非常に恐縮していましたが、店にディスプレイしたその日のうちに、何人かのプレイヤーのかたが「あり得ないくらいちゃんとした楽器」などと感想を述べていきましたので、今後、絶賛の声はますます高まるばかりと思われます。

 試奏してみたいかたは、ぜひ「アルカフェ」においでくださいませ。(^_^)